作品 15

1993年 脇指 豊月山昭次
平成五年仲春日
刃長 37.8cm 反り 0.3cm
形状 平造り、庵棟。
地鉄 (じがね) 板目肌やや肌立ち、地沸つき、地景よく入る。
焼刃 (やきば) 丁子乱れ、小沸よくつき、足長く入り、刃中金筋、細かい砂流しかかる。
帽子 (ぼうし) 乱れ込み、先小丸尖りごころに、やや長く返る。
中心 (なかご) 棟小肉、鑢目筋違、先刃上がり栗尻、孔一。

備前伝の平造り脇指である。
一部に逆がかった丁子を交え、刃縁はフックラとして柔らかい。
地には暗帯を挟んで、棟寄りにヴェールのような変化が見られる。
これが強調されると、映りである。 古作のように明瞭な映りを表現する技術は、現代刀の備前伝にとって今、最大の課題となっている。
地鉄は、銑を反射炉式精錬にかけて鋼としたものである。
折り返し鍛錬をして打ち延ばしているにもかかわらず、柾目はほとんど留立たない。
不思議である。 しかも、この鋼は焼刃のいかんを問わない。
地沸がついて、地景も現れる。感度が優れていることを示している。
「豊月山」は鍛錬所の名称である。

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