作品 12

1988年 天田昭次作
皇紀二千六百二二十八年皐月吉祥日
刃長 54.6cm 反り なし
形状 両鎬造り。
地鉄 (じがね) 小板目肌よく詰み、地沸つく。
焼刃 (やきば) 小沸出来の直刃、匂口締まりごころに小足入る。
帽子 (ぼうし) 直に焼き詰める。
彫刻 表裏の鎬に細い棒樋を掻き流す。
中心 (なかご) 鑢目筋違、先尖りごころの栗尻、孔一。

古作にも類例の少ない長剣である。全く破綻のない作品に仕上がっている。
銑を反射炉式精錬法で処理し、素材としているが、和銑であれば何でも良いというわけでは決してない。
良質の銑を求めて、全国のさまざまな砂鉄を試し、それに応じて異なる方式の炉も試みてきた。
これはと思う鋼や古鉄を銑に吹き直し、さらにこの方法で鋼としても、結果は異なる。
銑はそのまま溶かせば鋳物になり、脱炭加工することで鋼にも錬鉄にもなる。
その方法も一様ではない。
天田さんは、考え得るあらゆる可能性に挑んできたのである。

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